フリーライター&フォトグラファー 林 拓郎さん「北海道・旭岳周辺のランニングでテスト!スマートウォッチはアウトドアの何を変えるのか?」- 前編

フリーライター&フォトグラファー 林 拓郎さん「北海道・旭岳周辺のランニングでテスト!スマートウォッチはアウトドアの何を変えるのか?」- 前編

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北海道・旭岳周辺のランニングでテスト!スマートウォッチはアウトドアの何を変えるのか?- 前編

スノーボードやスキー、アウトドアの雑誌を中心に活躍するフリーライター&フォトグラファーの林 拓郎さん。滑ることが好きで2014年に首都圏から北海道へ移住し、旭岳山麓の町・東川町にアウトドアショップ「Transit」をオープン。最近は山を走るトレイルランニングの魅力に開眼。今回はAmazfitのランニングモデル「Cheetah Pro」の最新レポートをご紹介する。

 

Contents [前編]

・どんな機能を求めるか? 目的の柱を立てる

・実際に走るまでに気付いたこと

・さっそく走りに出てみた

・計測データにテンション上がる! [後編]

・使ってわかった便利機能 [後編]

・結論 [後編]

 

目的の柱をたてる

 スマートウォッチが便利なのはわかっていた。時間はもちろん、歩数や移動距離がわかり、GPS搭載モデルなら現在位置を表示して地図も見られる。もう、アウトドアにはぴったり! なのは間違いないが、あまりに多くの製品があり、そのどれもが多機能すぎて、いったいどのスマートウォッチを選べばいいのか決められない。結局、ネットのカタログを眺めて迷うだけの状態が続いていた。

 

 で、ある日決めたのだ。もう、欲しい機能いっこを抜き出そう。アクティビティを楽しみたいのか、体調管理をしたいのか、トレーニング量を正確に把握しておきたいのか、登山中に地図を見たいのか。あれこれできても、自分にフィットしなければ意味はないじゃないかと。

 

 というタイミングでのAmazfitレビューの機会を頂いた。そこでそれならと、ランニング向けモデルCheetahの、しかもProをリクエストしたのが事の次第というわけだ。

 

hayashi_2外箱には、Cheetah Proが何のために作られているのか、ちゃんと記されていた

 

走るまで

 とはいえ、そうした身体パフォーマンスがきちんと向上したことを実感できるまでには数ヶ月がかかるだろう。まずは3週間ほどCheetah Proを使ってみた印象を並べてみたいと思う。なお、このCheetahの細かいスペックについてはここでは触れない。詳細は公式サイトに譲って(https://www.amazfit.jp/products/amazfit-cheetah-pro)、今回は実際に使ってみた感想を中心にお話したいと思う。

 

  • 装着感が良い

 最初に驚いたのは、その装着感だ。軽いうえに、手首に自然にフィットする、Amazfitって、AmazingなFitって意味か?と思うほど快適なのだ。もちろん、バンド込みで43gという軽さが、その快適さの要因のひとつであることは間違いない。にしても、違和感ゼロ。今まで腕時計しない派だった自分が、ここまで自然に腕時計になじめたことは驚きだった。

 

hayashi_3そもそも腕時計が苦手で、どうしてもというときにはフェイスの小さな薄いものを選んでいた。ところがCheetah Proはつけていることを忘れる快適さなのだ

 

  • じつはアンチ腕時計派、だった

 腕時計をしない理由は仕事のじゃまになるから。PCに向かって原稿をかくことを生業としているが、腕時計はバンドの金属バックルがPCのパームレストに当たって不愉快なのだ。

 ところが、このCheetah Proのベルトは速乾性のナイロン製。しかも面ファスナーを使って留めているので金属バックルがない。加えてベルトエンドの留め具は、PCのパームレストに当たらない位置にある。正確に言えば、これはCheetah Proがすごいんじゃなくて、Cheetah Proに採用されているナイロンバンドが好みだった、ということなのだけれど。

 ともかく、PCに向かうときには外すつもりでいたスマートウォッチも、これなら常時装着OK。PC作業にまったくじゃまにならない腕時計が存在することを知って世界が広がった思いだ。

 

hayashi_4腕時計をしたままでもタイピングに違和感がない。このことは、スマートウォッチを導入する非常に大きなきっかけになった。さらに面ファスナー方式で快適さアップ。ちなみにベルトエンドにはストッパーがあるので、面ファスナーが剥がれたとしてもCheetah Proが腕から落ちることはなさそうだ

 

走ってみた

 というわけで、さっそく走りに行ってみたのだ。

 

  • 走り出すまでが早い

 このあたりの小気味良い操作性こそ、Cheetah Proがランニングモデルとしてデザインされている証左だ。なにしろウォッチフェイス上のスタートアイコンに触るだけでランニングモードになり、GPSの測位がスタートする。10秒ほどで測位が終わるとアイコンがグリーンに変わって準備完了。もう一度ウォッチフェイスに触ると計測スタートという簡単さだ。

 運動の種類をセレクトしたり、目的のスポーツモードまで細かく階層を辿ったりすることがなく、最少の手順で走る準備が整う。まさにフットワークの軽いユーザーインターフェイスなのだ。

 

hayashi_5スタートアイコンを押すか、リューズ(外側の突起)を押して運動から選択することでランニングモードに移行。すぐにGPSの測位が始まる。開けた場所なら10秒もかからないうちにランニングのアイコンが緑に変わって、測位終了を教えてくれる。余計な待ち時間がないので気持ちいい!

 

  • 物理的にも操作可能

 ランニング向きと言えばもうひとつ。Cheetah Proの操作は基本的にウォッチフェイスにタッチしておこなうが、必要な操作のほとんどを物理ボタンのリューズとコントロールキーでもこなすことができる。リューズを押せばスリープ解除、時計回りに回せば上向きにスワイプとしたのと同じコントロールセンターに、反時計回りに回せば下向きにスワイプしたのと同じショートカットカードに、BACKボタンを押せば運動の一覧に一発でアクセスできるのだ。

 

 物理ボタンのメリットは想像以上だ。たとえば汗をかきまくっていたり、雨の中を走っているときにはタッチスクリーンの反応が思い通りでなくなることはご承知の通り。そうした際にも確実な操作ができるので、汗をかいても煩わしさがなく、レースの際に誤作動がない。そしてこれはランだけでなくサイクリングやMTB、手元が濡れる釣り、あるいは手袋前提のスノーボードやスキーにもありがたい機能に違いない。

 

hayashi_06リューズを回してセレクト、押して決定、BACKボタンで戻る。使い方は非常に直感的。濡れた手でも確実な操作が可能になる

 

  • 軽い

 走り出してあらためて感じるのは、Cheetah Proの軽さだ。腕を振っても、まったく存在を感じさせない。さらに無段階に調整できるベルトは最適な圧迫感を叶えることができるので、きつすぎないけれどきちんと心拍数を取ることができる、ほどよい締め付けが可能になるのだ。

 また、このベルトには4本の目印が刻んである。自分の好みの締め付け具合はこのあたり、という目安が立てやすいことも、Cheetah Proの心地よい装着感に繋がっている。

 

  • 屋外でも見やすい

 まちがいなく高輝度のHD AMOLED ディスプレイのおかげなのだが、晴天の屋外でもウォッチフェイスはくっきり。コントラストの効いた画面は見やすさ抜群だ。

 ランニング中は経過時間、距離、心拍数、ペースなどが表示されるが、ウォッチフェイスが大きいこともあって、走りながらでも一瞥で確認可能。さらに画面は現在位置の地図、心拍数の推移を表すグラフ、平均ペースやケイデンス、消費カロリーなどを表示することも可能だ。

 こうした必要な機能を表示するフォントやサイズ、といったグラフィカルな部分でのデザインも洗練されており、Cheetah Proの表示をスッキリとまとめあげる重要なポイントだ。

 

hayashi_07これだけ文字が並んでいても視認性が悪いとは感じない。ディスプレイの精細さやフェイスの大きさと共に、デザインの美しさを感じさせる。技術者とデザイナーのなかに、走ることが好きな人がいたに違いないと思わせる

 

  • GPSが高精度

 Cheetah ProはとにかくGPSの測位が早い。そしてちょっと驚くくらいに正確だ。走り出しまでのクィックな測位は先に述べたとおりだが、軽く立ち止まればほぼリアルタイムで速度はゼロになる。そのため設定次第だが、立ち止まったら計測を自動的に一時停止し、走り始めたらオートで再開、がストレスなく、距離やタイムをムダにすることなく実現できる。今までにいくつかのGPS専用機を触ったことがあるが、このレスポンスの良さはちょっと経験がないほどだ。

 ちなみにCheetah ProはGPS精度の高低を自分でカスタマイズできる。これは測位の正確さを求めるか、測位よりもバッテリーを節約するかなど、求める機能に応じて柔軟に対応するためだ。ためしにGPSを低精度に設定してみたけれど、空が大きく開けている北海道では、測位のスピードも精度も大きくは変わらなかった。

 

  • バッテリーはじゅうぶんすぎる

 カタログデータによれば、Cheetah Proは最短26時間、最大14日間稼働可能なバッテリー容量を備えている。試しにGPS高精度でディスプレイ輝度をオートに設定。その他、もしかしたらバッテリーの減りが早いですよ~的なアラートをすべて無視して、使いやすそうな状態にセットしたCheetah Proで山を走りに行ってみた。

 

目的地は北海道のどまんなか、大雪山の旭岳だ。

 

・・・

後編は11月22日(水)に公開。
Amazfit Cheetah Proを装着して長距離を走った感想、
計測データや実際に使ってわかった便利な機能をご紹介します!

 

写真・文/林 拓郎

 

林 拓郎

フリーランスライター・フォトグラファー。バイク雑誌編集者を経て二輪雑誌のフリーライターへ。90年代半ばにスノーボードに出会ったことから、活動のフィールドを雪山へとスイッチ。撮りながら書くというフットワークの軽さをいかし、雪の現場を精力的に取材。執筆・撮影を行う。現在は北海道旭川市に在住し、ライター業の傍らで、隣町である東川町にてアウトドアショップ「Transit」を営む。